カテゴリー「交通」の51件の記事

2016/09/09

スツ線とアパ線

東武鉄道は、玉ノ井の駅名を消し去ったと思ったら、業平橋も消し去ってしまった。

伊勢崎線と野田線は消し去ったわけではないらしいが、スカイツリー線とアーバンパーク線にされてしまったと聞く。

特にアーバンパーク線の名には非難轟々のようだが、その意味以前に日本語では長過ぎて使い切れないのではないかと思う。

元の名より長い線名を付けて、定着することがあるんだろうか。使われるとすれば、省略されてだろうと思う。片仮名の名なら、頭文字を取って「スツ線」と「アパ線」にするのが自然に思えるけれど、使っている人はどう呼んでいるのだろう?

まあ、国電と同じか短い「E 電」も、定着しなかったけれど。

2016/02/28

CP+ で中井精也さんのお話を

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SONYα6000を持っている。利用者登録をして、撮影会やレンズ試用会に何度も参加し、自力では始めるのが難しい分野の写真も撮る機会をもらった。

その一環に「α アンバサダープログラム」というのがあって、「CP+2016」に招待してもらった。

四分野のセミナーに希望を描いて応募できたので、鉄道と航空を書いておいたら、「鉄道」が当たったのだ。

その時点ではどなたの話が聞けるのかわからなかったのだが、先週になって「1日1鉄」にこの記事が:  http://www.ichitetsu.com/2016/02/cp2016-243e.html

2/27 17:15-18:00 は、中井さんのカシオペアの話と知った。

おそらく、こちらを見ればわかったのだろうけれどhttp://www.sony.jp/camera/cp2016/

そちらは招待して頂いたわけだが、こちらも興味があった。

ソニーブースでは「カシオペアジオラマ」が設置されます!

ぜひみなさんも撮影してみてください。

2/27(土)、28(日)は1030分~1100分にて中井精也によるスペシャル実践講義も開催いたします。

予約不要です。直接ソニーブースへお越し下さい。

CP+ 自体が初めてなので、10時に駅に着いていればよいだろうとのんびりしていたら、会場に入るのに大行列で焦る。二階の行列が済んで一階に降りたところで 10:15!

もう、間に合わないかと思ったが、SONY が入口のすぐ横にあったおかげで辛うじて間に合った。

そこで中井さんの話を聞きながら撮ったのが、このHO。

セミナーは、中井さんが夜汽車としてのカシオペアを撮られる過程の紹介で、想像以上の大変さに舌を巻いた。

一日に「多くて」一回しか通らない列車を相手に、試行錯誤しなければならない要素がたくさん。

http://www.ichitetsu.com/2016/01/124-eb91.html

などでその一部は拝見していたが、撮影期間中、運航日はほとんど全部どこかで撮っていらしたのではないかと思う。

http://www.ichitetsu.com/2016/01/130-f1c1.html

の雪が舞う写真も、どう撮ったのかを教えて頂いた。

せっかく講演時間割がわかったので他社のセミナーも聞いた。そちらでは、外国で撮影する時に苦労するところを話していらした。

それも大変ではあると思ったが、「カシオペア」と対象を限定した撮影の大変さは想像するに余りある。

2016/02/13

交流電化と電源周波数

古い話になるが、2014/12に東海道新幹線の50Hz -> 60Hz 変換器の更新の記事があった。

JR東海、新幹線の周波数変換変電所2カ所の周波数変換装置を静止形に入替え http://news.mynavi.jp/news/2014/12/02/016/




上越・東北新幹線は 50Hz で走っている訳だし、北陸新幹線は長野で既に 60Hz だから、50/60Hz 両用の車輛も存在する。しかし、全体を 60Hz で設計した東海道以西の新幹線を今更 50Hz に変える選択はないだろうというのが、私の感覚である。現在地上で周波数変換できているものを、敢えて車上で変換するように変えるのは、車輛を重くすることになるからだ。
もちろん、その理屈を一般の人が知っているとは思わないのだけれど、工学部の中でも電気工学を学んだ人の常識でしかないということを知ることになった。




現代は、モーターを回すのに自由な周波数の交流を半導体で作り出す時代だから、電源は何でも大差ないだろうという意見を聞いたのである。なるほど、言われてみると、そう考えるのも無理はない。直観的にそんなはずはないと思ったが、説明するには車輛の実装を思い起こす必要があった。

電源電圧が 25kV もある (架線から集電する電流を小さく済ますためには、電源電圧を高くする必要がある) のだから、それをいきなり半導体にかける訳には行かない。調べてみたら 3.3kV の素子があったが、それでも電源電圧を一桁降圧しなければ、周波数変換どころではない。


富士電機のパワー半導体製品
HPM (High Power Modules)
AlSiC Baseplate (High reliability type)
 http://www.fujielectric.co.jp/products/semiconductor/usage/railway.html




降圧自体は変圧器を使えばできる枯れた技術だが、そこに電源周波数が絡んでくる。その点が、電気工学の知識なのだった。変圧器は鉄でできた芯に銅線を巻いたものだが、鉄芯の利用効率が周波数が高いほどよいのである。50Hz の変圧器は、60Hz の 1.2 倍の重さになる。重さがさらに重要な旅客機では、地上の電力供給とはほとんど関係ないので、400Hz を採用して軽量化を図っている。

そういう理由で、60Hz 用の変圧器しか積んでいない東海道系列の新幹線が、敢えて重い 50Hz の変圧器を積むとは考え難いのである。東海道新幹線の 50Hz 地域に入る区間に、現在は地上で変換した 60Hz 電源を供給している訳だが、その地上変換をやめるためには、この区間に入る全車輛の変圧器を重いものに積み替えなければならないのだから。




その時にはそこまでしか考えなかったのだが、その後にドイツはどうなのだろうと考えた。ドイツの電気鉄道は、初期に実用化されたために低い周波数を使う必要があって 16.7Hz を使っているのである。(フランスは 50Hz) それは、50Hz の三倍の重さの変圧器を必要とすることになるはず。

俄かには信じられなくて探してみたが、魔法は発見できなかった。wikipedia に曰く



The 15 kV, 16.7 Hz AC railway electrification system. http://en.wikipedia.org/wiki/15_kV_AC_railway_electrification

>  Due to high conversion costs, it is unlikely that existing 15 kV, 16.7 Hz systems will be converted to 25 kV, 50 Hz despite the fact that this would reduce the weight of the on-board step-down transformers to one third that of the present devices.




それが現実だろう。その制約の下で高速鉄道を開発するのは大変だったろうと思う。





話は地上に降りる (空からではなく、車上から)。現代は半導体の時代で、50Hz 用の変圧器は 60Hz でも使える。なら、東日本を 60Hz にするのも難しくなくなっているのでは?
と上の話をしながら思った。その疑問を、電力会社の友人にしたら、「結局、発電機なんでしょうねえ」。そりゃそうだ。無益な妄想であった。

2016/01/24

スキーバス軽井沢事故とエアバス名古屋事故

碓氷の事故は、もしかしたら、「フィンガーシフト」が原因なのか?http://transprincess.blog.fc2.com/blog-entry-882.html

という記事を教えてもらって読んだ。

回転数が合わないので、ギアチェンジ自体がキャンセルされてしまいます。

さらに恐ろしいのは、ギアはキャンセル前の4速や5速ではなく、

ニュートラルの状態になってしまうという事です。

ということも知らなかったが、

実際見た目上は、ギアは低速にちゃんと設定されています

には驚愕した。

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2016/01/19

充分な列車を供給できない時は運休にすべきではないか?

News Up 駅の入場制限 なぜ起きた http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160118/k10010376511000.html


この記事には

 

> もう1つの要因は、安全対策にありました。大雪の際には運行本数を間引きして運転するケースがあります。雪による思わぬトラブルの発生や、トラブルが駅と駅の間で起きて乗客が混雑する車内に閉じ込められる事態を避けるためです。

 

とあるが、昨日の京王線に限っては全く関係ない。そんなことをしなくても、

 

> 京王線では朝の通勤や通学のラッシュの時間帯に68編成の電車が運行予定でしたが、間引き運転に加えてトラブルで電車が出発できなかっため16編成しか運行できず、多くの乗客が乗り切れない事態に陥ったのです。

 

1/4 の編成しか本線に出られなかったのだから。

輸送の需給は通常の朝がほぼ均衡状態。それが四倍も崩れたら、状態が発散するのは火を見るより明らか。

ならば、運行側は運休と宣言する以外に道はないのではないだろうか。

 

一方、利用者側、個人よりもその属する学校、会社、官公庁などは、間引き運転の事実を知ったら最低限その比率の通勤通学者を減らす義務があると思う。京王線沿線の学校に休校にしたところがあると聞いた。動機は生徒の安全だと思うが、結果として社会責任を果たしたと思う。

 

> このうち明治大学では、午前中の授業の休講を午前8時50分前にインターネットのホームページで告知しました。しかし1時間目の授業は僅か10分余りあとの午前9時から始まるため、学生の中には、苦労して通学したあとに知らされたという人が相次ぎ、ツイッターの書き込みには「連絡遅すぎ」「詫び単位よこせ」などといった怒りの声が相次ぎました。明治大学広報課は「判断が遅れて迷惑をかけてしまい申し訳なかった。これから改善策を検討したい」と話しています。

> また、工学院大学は、午前7時に休講を決めたものの、多くの学生が閲覧するサイトへのアクセスが集中したために操作できなくなり、大学が情報を掲載できたのは授業の始まる30分前でした。工学院大学教務課は「技術的な問題を改善したので、今後こういったことがないようにしたい」としています。

 

> こうした怒りの声は、会社員とみられる人たちも。次のような書き込みが見られました。

> 雪のため『午前中は自宅待機』と連絡が入り、途中で引き返す

> 頑張って駅まで行ったら『午前中休み』の連絡。家に戻ったら再び社員は出勤命令。振り回さないで

技術的な問題は改善の努力をすればよいが、問題はこのような対処すらしなかった組織。

1/18 の朝六時に確認した時には、京王電鉄の運行情報ページ http://www.keio.co.jp/unkou/unkou_pc.html には

「京王線 (京王電鉄の井の頭線以外の全てを指す) は三割程度の運行」

という意味の表示があった。三割の輸送力しか供給されないのだから、これに乗ってよいのは緊急度の高い上位三割の人だけであるはず。

保安、医療など、現業職の全てが緊急度の高い組織もあるだろうが、一般的な組織は、(京王線を使う従業員の中で) 少なくとも七割に自宅待機を命じる義務があると思う。

2016/01/11

列車の進路違い二例

高徳線の脱線

JR高徳線、側線に入り脱線 信号見落としが影響 香川 http://www.asahi.com/articles/ASHD04RNNHD0PLXB003.html

> 信号は赤だったが、運転士(54)が信号を見落として発車。衝突を防ぐ側線に自動的に入り脱線したという。

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この脱線を想定した側線を、安全側線と言う。

JR 西が昨年発表した、先進国並みに懲罰より安全確保を優先するルール

JR西、重大事故でも処分せず 人為ミスで新制度 http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201512/0008647273.shtml

> 事故の発生を招いた人為ミス(ヒューマンエラー)をした乗務員らを懲戒処分とはしない新制度を、来年 (2016) 4月に導入する方針を固めた

が普及してここでも適用されることを祈るが、列車の誤出発は想定されているヒューマンエラーで、エラーはシステムの設計通りにバックアップでき列車の衝突を正しく防げた事例だった。

安全側線については、1963 年の三河島事故 https://ja.wikipedia.org/wiki/三河島事故 を大きな契機として誤出発自体を防ぐ方向に設計思想が進み、新幹線には安全側線がない。しかし、1973 の東海道新幹線大阪運転所脱線事故 https://ja.wikipedia.org/wiki/東海道新幹線大阪運転所脱線事故 があり、その後も信号保安装置の故障、設計ミスによる事故が続き対策が重ねられたが、その二十年後になっても安全側線の方が優れているという主張を見かけた。

停止信号の手前で列車が自動停止するシステム ATS-P http://www.wdic.org/w/RAIL/ATS-P を採用出来れば安全性は高まるだろうが、費用は大きい。

長崎線の誤進入

高徳線の誤出発の記事から、去年の似て非なる事故を思い出した。2015/5 の長崎線事故 (役所用語では重大インシデント)

保安システムの基本原理に問題がある (脚注) のが明らかになったが、運転士の操作には問題は感じられない。

指令員が現場の状況を正しく把握できていなかったのが直接の原因と考えられているようだ。

【特急あわや衝突】93メートル手前で緊急停止 JR「ミスではない」 http://qbiz.jp/article/62790/1/

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この事故の時は、異音のために下り列車が場内信号を越えて停車し、

> ブレーキをかける前の速度は時速約35キロで、19号の先頭車両と2両目の一部が20号と同じ線路に入った。

> 指令は、駅近くにある信号機の手前に19号が停車していると判断し、信号機を赤にした上で、運行再開時には手動でポイントを操作して、待避線ではなく、本線を通過させる予定だった。

「手動でポイントを操作して」は、稚拙な表現が新聞に誤って受け取られたと考える。実際には信号機と転轍機の間にinterlock をかける「連動装置」の操作スイッチ (専門用語は梃子) があり、人が操作するならそのスイッチである。その上位に連動装置を制御する運行管理システムがある場合もあるが、長崎線の報道は、中央の指令室にも遠隔操作スイッチがある CTC 装置だけが設置されていたように読めた。

(参考: 列車のポイントについて http://chiebukuro.travel.yahoo.co.jp/detail/12104924427.html)

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連動装置のスイッチは、線路上の「発点」から「着点」への「進路」を開通させるのが操作単位である。

さて、この事故現場では、指令は下のように事態が進むと考えていたと思う:

(1) 元々、この駅では列車交換の予定はなかったので、下り列車が通過するため、下りの駅手前から駅構内への場内進路を本線側に開通、駅本線から下り方向へ出発する進路も開通させてあった。転轍機は二つとも本線側に転換され、鎖錠されて動かない状態になる。その後、各信号の現示 (色で示す状態) が「進行 ()」になる。

(2) 異音を感じて停止した下り列車は、場内信号が見えない位置まで進んで停止した。

(3) しかし、下り列車はシステム上は場内信号の手前にいることになっていた (脚注)。

(4)  (手動) 指令者は、下り通過のために開通させていた二つの進路を元 (列車を通さない初期状態) に戻し、上り列車が待避線に到着できるよう、上りから待避線側に到着する進路が開通するようスイッチを操作した。

 この時点で進行を示していた信号機は停止になるが、安全のため転轍機はすぐには作動せず、上りの場内信号も停止のままである。

(5) (4) から一定時間経過し、進行だった下りの信号が急に停止に変ったのを見た列車があっても停止できるとシステムが判断した時点 (遅延させる時間が定数として設定してある) で、転轍機の鎖錠が解け、待避線側に転換し再度鎖錠される。

 上り列車がこの駅で停止するまでに通るのは諫早側 () の転轍機だけだが、駅に停まれずに過走する可能性を想定してあるので、肥前山口側 () の転轍機も待避線側に転換する。

(6) 両転轍機の転換と鎖錠が完了したら、上りの場内信号が注意 (橙) 現示になる。出発信号が停止なので、進行現示にはならない。

(7) 上り列車が場内信号を通過し、上り場内信号は停止に変化する。

(8) 上り列車が諫早側転轍機を通過し、転轍機は鎖錠が解けて転換できる状態になる。

(9) 上り列車が定位置に停車する。

以下 (6a), (7a) と (6)-(9) との前後関係は不明

————

(6a) 下り列車の運転再開のため、下りの場内、出発信号を手動で再度本線側を通過するよう操作した。

     (8) に達すると、転轍機が本線側に転換し、下り出発信号が進行現示になる。

     (10) に達するまでは、肥前山口側では変化は起きない。

(7a) 下り列車に肥前竜王で上りと交換することを伝え、下り列車が走れる状態になったら信号が進行に変化するという想定のもと、運転再開を指示する。

————

(10) (7) から一定時間が経過し、上り列車が肥前山口側転轍機まで過走することがないと判断し、その鎖錠を解除する。

(11) (6a) の操作の結果として、肥前山口側転轍機が本線側に転換鎖錠される。

(12) (6a) (8) が完了しているので、下り出発信号は進行であり、下り場内信号も進行になる。

(13) 下り場内信号が進行になったのを見たはずの下り列車が発車し、本線側を通過する。

しかし、下り列車には下り場内信号が見えないため、指令が (7a) の指示を出し (8) が成立した時点で進行現示になっていた下り出発信号を見て (12) を待つことなく出発してしまった。

下りの運転士は、(12) を想定し、上り列車が既に待避線に到着停止しているのも見えていたので、それを疑わなかった。肥前山口側転轍機が待避線側に鎖錠されたままなのを見て驚愕し、非常ブレーキをかけた。

というのが実際に起きたことだろう。

対症療法として、異常事態により予定外の位置で停止した列車の運転士が位置を指令に伝える時に現在見ている信号機がどれであるかを明らかにさせる、という方法がありそうだ。しかし、人の判断に依存する部分があり、根本対策とはならない。根本対策には精度の高い位置検出に基づく信号保安システムが必要になるだろう。

共通の対処

先進国ではとっくに実現していることだと聞くが、現場を罰しても事態は改善しない。隠蔽体質を育てるだけだ。

現場、運転士だけでなく長崎線では指令員も含むが、現場で起きたミスに対し懲罰を与えず現象をできる限り正確に把握するのが第一だと思う。

懲罰のあるところには、懲罰への対処が発生する。それには隠蔽が含まれ、起きた現象が把握し難くなる。現象を把握できずに根本対策を立てるのは、無理である。


脚注

鉄道の信号は、線路上の決まった区間に列車が進入することの可否を示す。列車が実際に進入したことは、左右のレールを車輪と車軸が短絡したことで検知するが、その検知点は信号の位置と一致せず、信号を越えておよそ 10m 前後進んだ位置にある。このずれは、蒸気機関車など車輛の先頭に運転士がいない列車が、自分自身でこれから進入する区間の信号を停止 () に変えて動けなくなってしまうのを防ぐために設けられているのだろうと、今回の事故から想像している。

 

2015/05/25

信号建植位置と軌道回路境界

 
軌道回路を利用した信号保安システムのかなり本質的な穴が明らかになったように思っている。
システムで防げない部分を人間がカバーできなかったところが問題だが、担当者、運転士も指令も責めてはならず、経緯を明らかにして関係者が仕組を完全に理解するのが第一歩だと思う。
私がこの記事から推測できるのは、
  1. 信号機と軌道回路の境界がずれていた (下り場内信号)
  2. 信号機を越えたところ (専門用語では「内方」) に列車 (かもめ 19) が停止した
  3. 列車は内方の軌道回路を踏んでいなかった
  4. 下り列車は場内信号の内方にはいないことになっているので、下り場内信号を停止にした上で、上りの場内信号を開通 (おそらく進行ではなく注意) させることができた
  5. この時、過走の可能性を考えて、下りから進入する側の転轍機も待避線側に転換鎖錠される (この鎖錠は、上り列車が場内信号の内方に入って一定時間後に解け、その時点で下り側転轍機を本線側に転換して下りの場内信号を開通させられる)
  6. 5. の状態の時に、停止現示である場内信号が見えない下り列車が発車してしまい、待避線に進入した
という経緯。
6. の判断を運転士が指令に仰ぎ誤った状況認識で許可したのが、直接の原因ではあるようだ。
しかし、この状況が生じるシステムに問題があって、人間はミスをするし、確実な情報伝達を期待するのは無茶だと思う。
1. のずれの理由は、おそらく、SL のように運転席が先頭にない列車の場合に、自分自身が信号内方の軌道回路を踏んで信号を停止にしてしまいその信号を越えられなくなるのを防ぐためだろうと想像している。
現代には SL を想定しなくてよいのではという意見もあり得るが、保存車輛が走る可能性は想定しておくべきだろうと思う。
安全側に考えると、下のように設計変更するのがよいのではないかと考えた。
(これを全国でやるには莫大な費用がかかるので、すぐにできないことは明らか、将来的にも無理かも知れないが、設計思想として)
  1. 自列車がその信号内方の軌道回路を踏んで停止現示になったのを見ることはあるという想定を置く (これは、特に運転室が後方にある SL では起きやすい)
  2. その前提の下で、列車の一部でも信号の内方に入ったら軌道回路を踏むように境界を設定する。あるいは、境界まで信号機を移設する (停止距離と視認距離によって信号の場所が決まっているので、信号機を動かすのも簡単ではない)
  3. 1. の現象が起きた場合の脱出手順を決める
つまり、自列車の前部が信号を越えているために信号が停止現示となり、それを見て動けなくなるという deadlock があり得る。
そこから抜け出す手順をルールとして決めておくことで、deadlock の発生は許容しようという思想。
手順は、
  1.  その軌道回路を含む区間に他の列車がいないことを確認する
  2.  さらにその区間に他方向から入る進路 (今回の例では上りの場内信号) が開通していないことを確認する
  3.  当該列車に停止現示を見ながら進行することを許す
このルールだけなら実施は難しくなさそうに思っている。(2. の改造が大変重いのが問題)
この場合でも、停止現示を見ながら発車するという特殊な操作が必要になるが、その状態を作っているのが自列車の前部であるという事情は直観的に理解できそうなので、今回の状況を作った現行設計よりはミスの起きる確率が低いのではないかと考えた。

2015/05/22

外回り内回り

山手線の二方向の列車を区別するのに、外回りと内回りという表現が使われていた。私は、通学に使うようになった四十年前から疑問を持たずに受け入れていたのだが、そう言っても通じない人がかなりいるということは、齢を重ねると共に感じるようになって行った。

それを、最近はあまり使わないというのを聞いた。わからない人が多いからというのは納得するのだが、「電車が左側通行なのを知らないと」という説明が付いていて、首を捻ってしまった。

たしかに、外回りが時計回りで内回りが反時計回りというのは、左側通行なのを知らないとわからない。その点で、内外回りを使うよりは、時計回りか反対かを使った方が直接的でましな表現だと思う。

 

しかし、外回りがどちらかわからない人に時計回りと言ったら通じるのか? そこが疑問だと思ったのだ。

もし通じるのであれば、積極的に時計回りと反時計回りを使うべきだと思う。

なお、

  新宿駅構内図

 など、今でも内回り外回りという表現は使われている。

 環状線を離れると、上下線という区別は、inbound / outbound という言葉で英語圏でも使われているように思う。

問題が起きるのは、近年増えている都心を通過する線。地下鉄は、終点が決まっている場合が多いから、それほど問題にならない。しかし、湘南新宿ラインや上野東京ラインの末端は多様である。

京浜東北線には南行と北行という区別があるが、大船方面と大宮方面で区別する方が多くの人に理解できるのではないだろうか。

しかし、高崎も宇都宮も、小田原も逗子も行く湘南新宿ラインの向きをどう区別したらよいのか、悩ましい。大局的には、南北だと思うけれど。

 

2015/05/21

記譜可能騒音

近所のマンション建設現場で、不快な騒音が始まった。サザエさんの屋外場面で使われている「音楽」。日曜は休業なので静かだが土曜は平日と同じく朝からやっていて、苦痛で叫びたくなる。
探すと、同じ苦痛を抱えている人がいる。
 
 
この例とは違って「延々とエンドレス」ではないが、エレベーターが動く時に鳴るようだ。朝一番は運び上げるものが多いのか数十分続けて鳴り、その後間歇的になる。そうなると、罪は工事会社よりもエレベーター製造会社にあるように思う。
 
似たような例で、自動車工場を見学した時に見た無人搬送車が、何かのメロディを始終鳴らしていたのを思い出した。動くもの警告するために音を出すのは、必要なことだろう。ハイブリッドや完全電動の自動車で話題になったように。
しかし、警告音が、意味を持つ「記譜可能」な音である必要はないだろう。音程の変動しない、ベルやブザーのようなものであって欲しい。音程が聞き取りにくいホワイトノイズであれば、助かる。
こういう騒音を無視できる人も多いのだろうと思う。しかし、私の家族は、皆叫びそうになっている。
(サザエさんの番組の中で一話に一回出てくるのは、苦痛でもないし、情景の描写として聞いている。苦痛なのは、文脈を無視した使用と繰り返しである)
 
このような、「音楽」とは言いがたいが譜面に書き取ることができる「記譜可能騒音」は、他にもある。
駅の「発車メロディ」:
 
 
これも苦痛である。旅行先で一度聞くだけなら、そんなものかとやり過ごせる。しかし、生活路線で毎日同じものを聞かされるのは、大変な苦痛である。
上り下りで違う「メロディ」を使う駅も多い。上下線のメロディを混ぜて聞かされるのは、さらなる苦痛である。
なぜ、こんな騒音をわざわざ作って宣伝までするのか。
発車ベルは、騒音ではあったかも知れない。しかし、叫びたくなるほど不快なものではなかった。
 
私は、「記譜可能」と言っても、聞いた音がすべて音名になるほどではない。しかし、
 
 
を信ずるなら、私には記譜できないような音でも音名が浮かぶ人もいるようだ。そういう人の苦痛は、私の苦痛をはるかに超えた絶大なものだろうと思う。
 
別の事例を探して、煙草に思い至った。
私は子供の時から、煙草を不快かつ危険 (火災の意味で) なものだと思っていた。しかし、その蔓延度からして、これから逃れることはできないものと諦めていた。
中学の時、数学の先生が嫌煙運動を立ち上げたことを知ったが、蟷螂の斧の虚しい活動だと見ていた。
しかし、その後の展開は私の予想とは大きく異なった。今のように、まともな店は禁煙になり、職場も息ができるようになるとは、1990 年代でも想像できなかった。
公道に煙を流して火を振り回す輩は消えないけれど、革命的な改善が達成できたと思う。
 
それを考えると、記譜可能騒音も諦めてはいけないのかも知れない。苦痛に感じている人が、地道に声を上げるべきなのではないか。
鉄道会社にもエレベーターメーカーにも苦情を言い続ければ、いずれは改善されることもあるかも知れない。
自分が生きている間には実現できなくとも、それをするのが若い世代に対する我々の義務なのではないかと感じている。

2015/04/17

発車時刻調整を非難する人達

湘南新宿ラインが遅れているため、横浜で東海道線が発車時刻調整。





ここの時間調整は複雑だが、山手線のような単純なモデルでも発車時刻調整の効果を理解していない層があまりに厚いことを、先日の架線柱事故で目の当たりにして、暗澹たる気分になった。
山手線のような単純なループで、列車間隔が開いてしまった時に、破滅を防ぐ方法は開いてしまった間隔を詰める、つまりその間隔の前にいる列車を遅らせること以外に思いつかない。基本の基本を忠実に実行しているだけなのに、それを非難する人の余りの多さ。
間隔が開いてしまった原因が鉄道側にあるなら、そこを非難したらよい。しかし、それが利用者側にある場合に、なぜ鉄道会社を非難できるのだ? 回復のために努力している人達を。