カテゴリー「言葉」の118件の記事

日本語を中心とした、言葉にまつわる話題

2018/07/01

電車と呼ばれるディーゼルカー

「鉄道のディーゼルカーが電車と呼ばれることが多い」
ことが話題になっていた。電気自動車も電車と言えるだろうし、発電機と蓄電池を積んでいて発動機を止めて走る場合もある鉄道車輛もあるだろうし、呼び名の境界はぼやけて来ている。

今までで一番違和感を持ったのは、新橋発の「ゆりかもめ」型の新交通システム (普通の呼び名とは思えない名前だ) を「モノレール」と呼ばれた時だ。しかし、初めて接するものを何と呼ぶか、どこに分類するかという人間観察だと考えると、俄然興味深い話になる。
ゆりかもめは、電車でも列車でもあると思うが、「鉄道ではない」と強く訴える何かを持っているのだろう。それは、ゴムタイヤを使っていることなのか、東京には珍しい天井まで届くホームドアなのか、あるいは…
札幌の地下鉄はどうだろうかと考えたが、「地下鉄」で終わりだろうと思い至りがっかりした。

私が誤解したのは Funicular という呼び名。日本語で言う「ケーブルカー」が、フランスのスキー場でそう書いてあった。それを見て頭に浮かんだのは「フニクリフニクラ」。固有名詞が普通名詞化したものと思い込んだが、順序が逆だった。

Funicular より:


Funicular of Le Tréport, France
A funicular (/fəˈnɪkjʊlər/) is one of the modes of transport, along with a cable railway and an inclined elevator, which uses a cable traction for movement on a steep slope.
...
The funicular on Mount Vesuvius inspired the song Funiculì, Funiculà, music composed by Luigi Denza and lyrics written by Peppino Turco, in 1880. Unfortunately, that funicular was wrecked repeatedly by volcanic eruptions and abandoned after the eruption of 1944.


2018/02/23

轍叉と轍査

1990 頃に既に「古典」と感じていた鉄道の信号技術の本があった。表題に確信がないが、二文字だった記憶があるので、「信号」だったか?  国鉄の内部の教科書だったかも知れない。

読み進めると、「てっさ」と「てっ査」という言葉が出てくる。意味から推測すると、轍叉と轍査だろうと推測できた。漢字なら一目瞭然だが、仮名書きと交ぜ書きでは暗号としか思えなかった。河豚じゃないんだから。

信号からは外れるが、鉄道分野には「き電」という言葉もあった。意味は feed power なのだが、これは字を思いつけなかった。古書に当たると、饋電だった。「饋」を辞書で引いたら、意味がよくわかった。こんな美しい字があるのに、それを使わずに交ぜ書きするとは。

(用例: き電線)

別の分野で、「爾後」と書けなかったのだろう「じ後」と書いた本も見たことがある。事後と「じ後」は違うと言いたいのだろうけれど、漢字を失ったら、意味がわからない。

この文字狩り、文革のような人的被害はないけれど、文化を破壊する力は侮れない。

2016/09/09

スツ線とアパ線

東武鉄道は、玉ノ井の駅名を消し去ったと思ったら、業平橋も消し去ってしまった。

伊勢崎線と野田線は消し去ったわけではないらしいが、スカイツリー線とアーバンパーク線にされてしまったと聞く。

特にアーバンパーク線の名には非難轟々のようだが、その意味以前に日本語では長過ぎて使い切れないのではないかと思う。

元の名より長い線名を付けて、定着することがあるんだろうか。使われるとすれば、省略されてだろうと思う。片仮名の名なら、頭文字を取って「スツ線」と「アパ線」にするのが自然に思えるけれど、使っている人はどう呼んでいるのだろう?

まあ、国電と同じか短い「E 電」も、定着しなかったけれど。

2016/09/08

台風は低気圧になれない

台風と熱帯低気圧と温帯低気圧

台風と熱帯低気圧と温帯低気圧は何が違うのですか?
台風と熱帯低気圧(天気図上では T TD と表現)は同じ仲間で規模が違うだけですが、温帯低気圧はこれらとは構造が違います。
温帯低気圧が発達して風速が 17.2m/s を超えても台風とは呼びません。

台風の定義を変える必要はないと思うが、同程度の風速の温帯低気圧にも注意喚起のための呼名が要るのではないだろうか。
台風が風速によって定義される熱帯低気圧の部分集合というのはよいとして、もし雨量がある程度予測できるのならば、それも含んだ広い範囲の用語が欲しい。

爆弾低気圧の定義を見たら、

気圧配置 気圧・高気圧・低気圧に関する用語
中心気圧が24時間で24hPa×sin(φ)/sin(60°)以上低下する温帯低気圧(φは緯度)。例えば北緯40°なら17.8hPa/24hが基準となる」

細かい分類の必要性はあるだろうが、広く周知するのには、「風速が一定値以上または予想雨量が一定値以上の低気圧」のような上位概念の方が使いやすくない?
気象庁が、△×を付けて周知に使う用語を制限しているのはよい。

「台風が低気圧に変わる」

それはそれとして、「台風が発生した」や「台風が低気圧に変わる」という報道があって、頭を抱える。
観測が連続でなければ台風が突然発生することはあり得るかも知れないが、ほとんどは「熱帯低気圧が発達して台風になった」だろう。

台風13号発生 8日(木)に東日本へ接近か
沖縄の宮古島の北北西およそ90キロで台風13号が発生した。

そして、低気圧である台風は「低気圧になる」ことはできない。「台風が温帯低気圧になった」の意味を理解せずに、一番重要な言葉を略してしまったように感ずる。

大雨の北海道北部 あす夜以降再び激しい雨のおそれ
台風から変わる低気圧の影響で、8日の夜以降、再び激しい雨が降るおそれがあり

【台風12号】山口県沖を北上 中心気圧1002hPa 夜には熱帯低気圧に変わる見込み

台風が弱まって台風の要件を失うのはわかるが、元々熱帯低気圧であるものが「熱帯低気圧に変わる」ことはできない。

上陸

台風の「上陸」に意味はあるんだろうか? 
台風を点として把握するのが精一杯だった時代には、「上陸」の地点と時期を予測することに意味があっただろう。
しかし、台風の風速、雨域、雲の拡がりが一般人にも容易に見られる時代に、「上陸」を宣言する意味があるのだろうか?

<台風10号>東北に初の直接上陸の恐れ
台風が太平洋側から東北に直接上陸すれば、1951年の統計開始以来、初めてとなる。

単に中心の位置が海上から陸上に移動しただけで、大勢に変化はないと思うのだが。

尤も、1950 年代と同じ基準で「初めて」と言うためには、2016 年の 10 号では意味があったかも知れない。
しかし、それは「統計」に記録しておけばよいこと。防災のためには、「何時頃どの地域の風雨が強い」ことを言う必要があって、報道が「上陸」を繰り返し言う意味がわからない。

2016/04/04

読み方を教えない虐待

久しぶりに弦楽四重奏を始めた。

Quartet

初練習でのこと、四人のうち三人は大学の同期生でおよそ様子がわかっているが、ビオラだけ同期の都合が付かず、後輩に頼んで初顔合せ。ビオラはとても上手で、曲のこともよくわかっていた。スコアが頭に入っている感じで、安心感がある。

練習後に四人で話した。学生の時に一度だけ管弦楽の演奏旅行に一緒に行ったことがあるが、その時はバイオリンであった。ビオラはここ三年ほどとのこと。バイオリンは単独で聴いたことがないが、上手いに違いない。ただし、楽譜を読むのに苦労しているということだった。

珍しいことではないのだが、バイオリンの人の中に、とても上手だが楽譜が native language になっていないように思える人がいる。なので驚くことではないのだが、その点で今でも苦労しているという話だった。

驚いたのは、ビオラの方。ビオラはバイオリンとは違う音部記号、アルト記号を使うので、ト音記号から来た人もヘ音記号から来た人も、読み方を新たに覚える必要がある。ならば、バイオリンで苦労した人は新しいアルト記号ではそこを克服できるだろうと期待した。ところが、ビオラの新しい音部記号でも、やはり苦労しているのだそうだ。最初に楽譜を読むことを身に付けなかったのが、second language でも尾を引いているようだ。

これは音楽に限らないことのような気がした。話し言葉を耳から覚えるのは母語では当たり前のことだけれど、読み書きは大人の介入が必要。小学校で習えるから問題になることは学習障碍以外ではあまりなさそうだけれど、もし教えなかったらそれは大変な虐待である。

これは、第二言語以降でも同じことだと思う。その言語環境に抛り込まれれば話し言葉は身につくけれど、読み書きには努力が必要。日本の英語教育は、長い間その逆をやってきて話し言葉を身につける機会を与えないことが多かったわけだけれど、読み書きを先に叩き込んであるので、その言語の環境に抛り込まれたあとは有利であると感じている。

今、始まろうとしている英語の早期教育がどのような方針なのか把握できていないのだが、この「虐待」に当たらないことを強く願う。

2015/10/18

数学と音楽

子供が勉強をする時に、器楽の録音を聴いていたら、「音楽があるとできない」と言われた。
私とは違うが、それは不思議ではない。

 

ところが、今日は歌の録音を聴きながら勉強をしている。
器楽は駄目で歌が入るといいのか? と訊いてみたら、数学と音楽が両立しないのだという。
そういう仕組なら納得するが、自分は音楽を表層的にしか聴けないのか、と思った。

2015/07/13

誰が?

主語を想定して読むと裏切られる。主客を混同していると言うより、主体と客体があるという認識が欠けている気がする。
その内、売ると買うが一体になって、売ることも買うことも「買う」と言うようになりそうな。

来店
初来店 を引いてみたら...
店が使う、店に着いた時に使う、それなら昔通り。だが、その店に行って帰って来た人、これから行く人が「来店」!?


課金
ゲームの中で有料サービスを売る話だと思って読んでいると、どうもおかしい。
買った側が「課金した」と言っているらしい。なぜ....

応募
「応募しよう」と聞いて何の募集があったのかと思っていると、どうやら募集しようとしているらしい。

2014/02/09

「乗場」と「番線」

JR 東日本は「番線」と言うのに西日本は「のりば」と言うのはなぜ? という疑問を持たれた方があり、この境界線調査ページをみつけていらした: 「のりば」「番線」境界線
そういう呼び方だけの問題か? というのが私の疑問。
  • 線路が一本で両側にホームがある場合 (たとえば小田急新宿)
    番線は一つで乗場が二つ。乗場の方に番号を付けることもあるのではないか?
  • 機回し線 (1970 年代には、まだ国鉄の東京駅にはホームのない「11番線」があった)
    東京駅では、乗客案内では 11 は欠番になっていたが、会社によってはホームに面した線路にだけ「のりば」の番号を付ける場合もあるのではないか?
「乗場」と「番線」が食い違う駅は、そう珍しくはないと思う。そのために言葉を使い分けている例はないのだろうか?

2013/09/17

QWERTY キーボードとタッチパネル入力と英語と日本語

前に、「smartphone は日本語以外で画期的だった」  という記事を書いてから、そういう指摘は方々で既にされていたことに気がついた。
一方この記事は、自分のしていることを観察して感じたこと。

ある日本の友人は、日本語を解さないご友人も多いようで Facebook にしばしば英語で投稿している。
それにコメントを書く時、自分が PC に向ってハードウェアキーボードが使えるなら、迷いなく英語で書いていることに気がついた。
ところが、その投稿を見るのが iPhone であった場合、よほど必要性を感じない限りは日本語でコメントしているのであった。

iPhone はタッチパネルなのだから、QWERTY 入力にすることは難しくない (ローマ字 QWERTY キーボードは削除してあるので、地球マーク一押しの切替である)。
画面が縦だとミスタッチが多いが、横にすればその問題も避けられる。
しかし、QWERTY キーを「見ながら」入力するのが、私には大変苦痛なのだということを改めて認識した。
日本語を 10 キー表示で入力する時だって、iPhone ならばキーを見ないで入れられる訳ではない。ハードウェアキーを持つ日本の携帯電話に比べたらはるかに面倒な作業である。
それでも、タッチパネルで入れるには、キーの数が少い日本語の方が QWERTY しか現実的入力手段を知らない言語より自分には抵抗が小さいというのに気がついて、意外に思っている。

私はタブレットを持っていないのだが、ハードウェアキーボードを付けない限りは、あまり使いこなせないかも知れない。

Tweet ATOK による英語入力

なお、iPhone で英語を入力するには、Tweet ATOK  が日本語に限らず便利である。

キーボードの切り替えには、切替キーをタップする方法しか書いていないが、
ATOK Pad と共通の 設定の変更 -> キーボードや変換などATOKの設定を変更する -> ●キーボード -> 使用するキーボード -> 画面の向きごとに選択
を [オン]にすると、[キーボード選択(縦画面)]と[キーボード選択(横画面)]を独立に設定できるようになる。ここで、縦を「テンキー 日本語」横を「QWERTY 英語」にしておけば、iPhone を横にするだけで QWERTY に切り替わり、縦にすれば日本語 10 キーに戻る (おそらく、iOS レベルで縦横切替をロックしていてはだめだろう)。QWERTY 入力には横長の方がミスタッチが少くなるから、大変使いやすい。

さらに、候補の選び方(推測変換) には日本語についてしか書いていないが、英語入力でも (辞書と使用単語履歴を使った) 推測候補を出してくれる。
推測候補は、単語の冒頭を入れた時にも出るし、前の単語を確定した時点でも次に来る単語の候補を出してくれる。確定した単語の後には必ず空白が入るが、気にせずに句読点を入れれば、それは空白の前に入れてくれるから、スペースを気にする必要はほとんど感じない。

日本語と同じく、入力しかけで放置しておいても、その状態を保存して復元してくれるので、長いものを少しずつ書き貯めるのにも適している。
一つ大きな問題は、ミスタッチで書きかけのものを Twitter に投稿してしまう事故があり得ることだが、それは専用の private 設定のアカウントを取っておけばよいと考えている。
tweet してしまったテキストは入力画面からは消えるが、タイムラインからコピーして来ることはできるので、書き貯めたものを失うことは通常はない。

2013/07/01

「コールド・バレエ」

コール・ド・バレエ (仏: corps de ballet) という言葉がある。
初めて日本語として耳にした時に白鳥の湖の ballet blanc と一緒に入って来たので、白くて cold なのか? と思ったが、仏語であるはずだからと思い直して調べて意味を知った。
それを群舞と言うのは適訳だが、どうも日本では「コールド」と略する文化があるらしいと知り、「前置詞の後とは変なところで切るなあ」と思っていた。自分と同じく "cold ballet" と思い込んでいるのだろうか、と想像していた。

 

ある時、「コールド」と日本語で書く言葉には "called" もあるということに気がついて、膝を打った。"called ballet" 呼び集められたバレエだと思われているのか? それならわかるような気がする。
真相はわからないままだけれど。

 

ところで、corps は英語の軍事用語としても "ps" を発音しない。彼らにも仏語コンプレックスがあるのだな、と思う。

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