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2018/05/13

JR 北海道が苦しいわけ

1 三島会社の赤字と本州三社の黒字

JR 北海道の経営問題が突出して見えているが、その理由を聞いた。

経済に明るい方が確かめて下さると有難いのだが、おおよその説明をしてくれている 2011 年の記事を後で引用する。

国鉄を解体した時に、収益源のない三島会社 (北海道、四国、九州) の経営を安定させるため、経営安定基金を与え、その運用益で営業損失を穴埋めする設計になっていた。

しかし、当初は 7.3% の利率が設定されていた (分割された 1987 年はバブル期) が、その後、利率が下がり、現在はほとんど 0 である。なので、営業損失が埋められなくなり、そのまま赤字になっている。

一方、本州三社 (東日本、西日本、東海) は、首都圏、関西圏、東海道新幹線という収益源を持っているので、三島会社と逆に金利を負担して収支が合うように設計された。

しかし、金利が下がったためにその負担が減り、その分が純益となっている。

引用記事[1] は、三島会社の経営設計の問題を指摘するものだが、旧国鉄の運営持続という観点からは、分割の仕方が間違っていたと考えるべきと思う。

利率が 7.3% で固定されているという誤った前提に基づいた設計。分割時より前の時代には金利はそれより低かった[2] にも関わらずそう設計したのが誤りで、それを正す必要があった。今からでも直さないと、北海道と四国は倒れてしまう。九州が倒れない仕組は次項で紹介するが、ここではその仕組がないものとして三島会社を一括して扱う。

経済の門外漢である私に思いつける対策は以下に書く程度。経済の専門家のご意見を頂きたい。

利率の変動によって増減する、三島会社の運用益と本州三社の金利負担を通算して、鉄道経営で生じる損益に合わせる。少なくとも分割時に決めた営業損益に合わせる。

実質的には、分割したことが誤りで、地域分割をやめるべきだと言っていることになると思う。

2 JR 九州の黒字要因

1 で三島会社の収支が合わないと書いたにも関わらず、JR 九州は上場するに至った。

その仕組は、新幹線が黒字を出すように需要予測を意図的に下げることだったそうだ。

予測収入を小さく見積もることで、それに依存して決まる線路利用料を低く抑えて貰った。実際の輸送人数は事前の予測値を大きく上回っているので、差が利益となり、収支が合った。

こちらの文献はまだ探していないが、1 が広く知られることが重要なので、内容未完成のまま記事にする。

3 赤字黒字問題が隠されているわけ


1
で書いた三島会社の赤字と本州三社の黒字の発生理由は、制度設計がわかっている人は知っている。しかし、その人達は、どこかで JR と利害関係があり、公に発言できずにいるそうだ。

5/14 追記

5/8 に東洋経済がこの記事を載せていたことを、後から知った。

石破茂が指摘する「日本に必要な鉄道政策」

人口減少社会でも地方鉄道は活性化できる


文献


[1] JR三島会社の経営安定基金のからくり


それぞれの会社を独立の経営主体と見たら、「おかしい」のはその通りだろう。

日本の基幹交通機関の一つとして鉄道を維持するべきと判断するかどうかに掛かっている。もし、鉄道を重要な貨客輸送手段だと判断するならば、各部門、地域の収支は明朗にした上で、赤字になる部分を補助する制度設計が必要な筈だ。

/ 当初は、その金利は、7.3%に設定されていたのです。その後、金利低下とともに引き下げられて、1997年度からは4.99%2002年度からは3.73%というふうに、5年ごとに見直されてきました。2007年度のときは、本来ならば引き下げられるべきだったのでしょうが、JR三島会社に対する新支援制度ということで、3.73%に据え置かれたのです。現在、機構の資料に、金利が3.73%と表示されているということは、4.99%の借入れは残っておらず、過去9年の間に、全て3.73%のものになったということだと思います。

 さて、来年度、2012年度以降はどうなるのでしょうか。また、3.73%に据え置くのでしょうか。それとも、引き下げるのでしょうか。いずれにしても、国民に広く知られることなく、行政の問題として処理されるのだと思います。しかし、これは、事実上、税金を使った補助金なのです。これでいいのでしょうか。

 そもそも、仕組みがおかしいでしょう。機構は、JR三島会社を所有する法人なのであって、いわば親会社です。JR三島会社は、子会社です。その子会社に巨額な経営安定基金を設定し、その基金から親会社である機構が高利で借入れる。その金利が、JR三島会社への補助金になる。巧妙といえば巧妙ですが、非常に不明朗な話ではあります。

JR四国についていうと、経営安定基金の大半を機構へ貸付けている実態に、変化がありません。JR四国は、全くもって、経営安定基金依存、機構からの実施的な補助金依存の経営体質です。

 JR九州は、そもそもが、経営安定基金への依存度を引き下げていますし、基金の運用についても、機構への貸付金の比重を大きく引き下げてきています。それにつれて、経営安定基金の運用利回りも、順次低下しており、20113月期には、2.86%になっています。ということは、機構向け貸付金以外の運用利回りは、1%台と推計され、特に無理な運用はしていないのだと思われます。このまま、機構向け貸付金の量と利率が低下していっても、耐えられるような体質へと、経営改革が進んでいるのです。

 わからないのは、JR北海道です。3年前までは、JR北海道の経営安定基金のうち、7割くらいが機構向け貸付金だったのですが、直近ですと、その割合は、45%にまで低下しています。にもかかわらず、基金全体の運用利回りは、低下していない。ということは、機構向け貸付金以外の普通の資産運用でも、3%程度の運用収益をあげていることになるのですが、はたして、そうした収益率を安定的にあげることは、可能なのか。私には、無理のように思われるので、非常に関心のあるところであるわけです。

[2] バブル時代の銀行融資の金利「住宅ローン8.9%」まで上昇した結果

バブル期のいつが金利のピークだったか、制度により差があるだろう。

1987 年に決めた 7.3% という値はピークよりは低かったかも知れない。しかし、その差は気休めにもならない。

/ 1990年(平成2年)の後半に、住宅ローン金利は8.9%まで上昇しました。

[3] 上場したJR九州はどこまで利益を増やせるか 固定資産を一括減損して、鉄道黒字化果たす

この記事からすると、2 で書いた黒字の源を、九州は途中で返上したことになりそうだ。

黒字の源に人為的操作があったことを指弾される前にその状態を終わらせ、綺麗になった所で上場したようにも思える。

1 の問題を 2 で潜り抜けて上場に持ち込んだのは、見事に見えるが、残りの二島会社の問題が表面化するのを先送りにした弊害があったかも知れない。

/ 経営安定基金の使い道として、まずは九州新幹線(鹿児島ルート)の使用料が一括返済された。九州新幹線は全国新幹線鉄道整備法に基づいて建設された「整備新幹線」。線路などの建設を国が行う代わりに、年102億円の使用料が国に支払われる。これが新幹線事業の足かせとなっている。

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