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2011年5月の3件の記事

2011/05/19

麻布の大名屋敷

中学に通っている頃、広尾の駅から学校まで行く途中に、大きな木戸のある屋敷があった。タイミングが合うと、そこから黒塗りの車が現れ、学習院 (初等部) の制服の少年二人が乗っているのに出会った。
当時は、金持ちが住んでいるんだな、程度の認識でやり過ごしていたのだが、後年、その近くにマンションが建つという宣伝を見て、そこが米荘閣という堤清二の建てた迎賓館と接することを知った。

件の屋敷はだいぶ切り売りされたようだが、航空写真で見ると、まだ住宅らしき建物が一軒だけ残っているようだ。
古地図との対応を取るのが難しいが、北條遠江守あたりか?

佐々木 譲の「エトロフ発緊急電」に麻布の華族邸の話が出てきて、そんなことを思い出した。

2011/05/17

方向別二階層ホームの上下の選択

京王線の調布駅を、地下二層構造にする工事が進んでいる。
昨年、トンネル見学会にも参加した。

しかし、調布駅の構造図をよく見ると、下り線ホームが上、上り線が下になっている (http://www.keio.co.jp/train/chofu/progress3/construction.html)。
これは、多くの人に不便だろうと思う。正確には、上下線を乗り換える人の多くには不便。
上り線同士、下り線同士の乗換は、どちらのホームが上でも関係はない。調布で乗降する人は、行きと帰りで違うホームを利用する場合がほとんどだろうから、どちらが上でも大差ない。
しかし、調布で上り線から下り線に行く人達がいるのである。八王子、府中方面と、多摩センター、橋本方面の間を利用する場合。
この人達にとっては、調布で乗り換える時には、行きも帰りも下の上りホームに到着し、上の下りホームに昇って出発することになる。地下鉄の赤坂見附で新宿方面と渋谷方面を乗り継ぐ場合と同じである。
地下鉄の場合は、四ツ谷―赤坂見附が急坂なので、そこを登る新宿方面行きの電車を楽にするために、あの構造になったのだろうと思う。
しかし、京王線の場合は、まだこうせざるを得なかった理由をみつけられていない。何か、どうしても避けられない事情で、多くの乗換客が階段 (エスカレーター) を昇ることになる構造になってしまったのだろうか?

2011/05/02

「夏時間」

震災後の電力不足で、夏時間を主張する人々がある。従来型の夏時間、国内の時刻をすべて前に一時間ずらせるもの、これは夏の一日の内の需要変動を考えればおよそナンセンスな主張なのだが、「夏時間」を二つに分けて考えよう。

a. 人間の活動時間をずらすこと
b. 国内の時刻をずらすこと

まず a. これは必要なことだ。ただし、どうずらすかは電力需要を知って決めなければならない。 
次に b. これは全くナンセンスである。現代に a. を実現するのに b. まで採用する必要はない。

それでは a. 人間の活動時間をずらすことについて

(1) 電力需要の日変動

まず、需要変動曲線。やや古いものしか手に入らなかったが、およそ 10-19 時を高需要時間帯、23-8 時を低需要時間帯と考えればよさそうだ。

10-19 時の需要は、冷房需要と経済活動による需要が重なっているだろう。冷房需要を家庭だけに止め、経済需要を夜にシフトすればよさそうだ。

いわゆる夏時間、前世紀型の時計を前に一時間シフトする夏時間は、電力ピークの操作にはほとんど無影響であることがわかる。効果もないが害もない。
昼休みの落ち込みがあるから、昼休みを分散させることには多少の効果があるが、ピーク時間帯の方が昼休み時間帯より長いので、削減効果は 5% 程度に留まるだろう。

(2) 経済活動時間帯のシフト

(1) では、高需要時間帯も低需要時間帯も九時間だった。それならば、経済活動を後ろに 13 時間シフトすれば、ピークは下げられると考えられる。産業用の電力需要には、日変動するもの (オフィスの冷房需要など) としないもの (連続操業する工場の需要など) がある。後者は制度によって変えられないだろうが、前者は制御できるだろう。
さて、シフト量である。後ろに 13 時間、前に 11 時間と考えてもよいが、午前九時に始業する会社であれば、午後十時に始業するようにずらす、ということである。これを実現するためには、当然インフラである交通機関もそれに合わせて運行時間をシフトする必要がある。交通機関には観光需要もあり、それはこのシフトとは相容れないところが多いが、今回はその議論は割愛することにする。
現在、都市の鉄道がおよそ 0-5 時の五時間運行を停止しているとみなせば、シフト後の鉄道は 13-18 時に休止することになる。学校や商業活動もこれに合せれば、電力負荷上はピークに影響を与えなくなるだろう。

次に b. 国内の時刻をずらすこと

(3) 実現方法

a. では、「夏時間」を今の日本で実施するなら、前に一時間ずらす欧米型の夏時間ではなく、およそ半日ずらして昼夜逆転させることが有効であることを述べた。
では、どうやってそれを実現する、すなわち冬時間から夏時間に変更するか。欧米式に考えれば、時刻すなわち国内の時計を一斉にずらすことになる。これは、実現コストが高く、現実的ではない。典型的には銀行のシステム、時刻が逆転することを想定していない例があると聞いた。銀行に限らず、今まで時刻を絶対と考えてきたシステムで、時刻が季節によって変わった時に問題が起きないかをチェックするのには、多大なコストがかかるし、改修コストも発生するだろう。
この従来型の夏時間のメリットは、さまざまなスケジュールに手を加えず、移動した時刻に応じて生活すれば、夏時間実施中には問題が生じないところにある。しかし、スケジュールを (2) の経済活動時間帯のシフトに合せて変更することは、現代では難しくない。計算機上にあるデータは容易に書き換えられるし、印刷したものであっても、時刻の欄だけ書き換えれば充分である。
また、時間帯のシフトが有効としても、全組織にシフトを強制すべきではないだろうし、夜間であっても、経済活動時間が分散していることは集中よりメリットがあると考える。
さらに、人間の感ずる時差の問題もある。一時間のシフトである欧米でも影響はあるだろうが、13 時間のシフトを一気に行えば時差呆けの影響は多大である。であれば、シフトは少しずつ行えばよいのではないか。例えば二日に一時間ずつ遅らせれば 26 日でシフトが完了するが、それを時刻の変更で行うのは無茶である。時刻には手を加えず、交通機関の運行時刻、事業所の始終業時刻を順次遅らせて行くのであれば、実行はできると考える。

これは余談だが、夏時間から冬時間に移行する時にも、時間帯を遅らせる方が人間にとっては順応しやすいだろう。この問題は日付が一日減ることである。それを許容できないと考えるならば、冬から夏に移行する時に、時間帯を進めなければならないだろう。どれだけの期間をかけて移行するのがよいかは、実験によって決める必要があるだろう。

(4) 標準時刻

(3) の方法で時間帯をシフトするならば、標準時刻は何を採用してもよいことになる。もちろん、現在の東経 135°時刻を採用するのが一番簡単である。
しかし、時間帯をシフトした時に以前の時刻と誤認して混乱することも考えられるので、むしろ自然時刻と無関係な標準時を採用するのも一案である。例えば協定世界時 (UTC) を採用しても、変更は一度だけ、コストはかかるが大きくはない。

これも余談だが、中国が一時間帯だけで全国を運用していることを知った時、広大な国なのに無茶をする、チベットなどに無理を強いているように感じた。しかし、そのような標準時を採用されても、現地では自分たちのやりやすい時間帯で生活するのである。標準時は標準であれば充分で、何も正午に昼飯を食べなければならない訳ではないのだ。
電力ピークを下げるためにやろうとしている時間帯シフトは、決して「やりやすい」時間帯ではないが、経済活動の時間帯シフトさえ実現できれば、私生活は自由であってよいのだ。

定量的に評価できてはいないが、(2) で経済活動を夏の暑い時間帯からシフトできるのであれば、暑い昼間に家庭の冷房まで禁止する必要はないのではないかと想像している。

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